代表者の一言
令和6年5月代表者の一言
今年の4月は平年よりも夏日が続き、地球温暖化による気候への影響を感じます。私は大学入学前まで山口に住んでおり、小学生時代の夏休みは扇風機で涼をとることがほとんどでした。30度を超える真夏日はほんの数日だったと記憶しています。この50年間で暑さが増した夏の気候とは裏腹に、住環境は建造物の進化、IT化によって快適なものになりました。最先端の技術が自然との共生に導く社会を我々人間の英知で実現することが、これからの目標でしょう。
このような春も終わりに近付き、これから迎える夏は酷暑が予測されます。大人に比べて身体の水分量が多い子ども達にとって細めな水分摂取が大切ですので、今年もご家庭と協力しながら十分な水分補給を心掛けたいと思います。その上で、外出に耐え難いほど暑い日は、外遊びは控えて、水遊びや室内でも子ども達が「夏」を感じることができる遊びを多く取り込みます。外遊びができる日には、季節や自然の豊かさを感じられるよう、カブトムシやクワガタなどの夏の昆虫を探したり、夏祭りでワクワクするような気持ちを体験したり、海や山にたくさんの自然があることを遊びを通じて体験できるような保育を工夫したいと思います。
子どもの頃の大切な思い出は、心の中にずっとあるものです。私にも幼い頃の思い出があります。大人になった娘から、最近、幼い頃の懐かしい話を聞くことが多くなりました。娘にとって保育園に通っていた頃の思い出は少し薄らかなものも多いようですが、お迎えが一番遅いお家だったから保育士さんを一人占めできて楽しかったこと、お休みの日に特別な経験をしたこと、祖父母宅に行って見聞きした出来事、両親の情緒が不安定だった瞬間など、子どもにとって嬉しい場面、悲しい場面、心が大きく動いた瞬間を心に留めているようです。母である私には日常的なことでも、子どもにとっては特別と受けとめるようで、大人の私にとっては想像の彼方です。
そして、紛れもなく子ども達は、親と一緒にいるときの親の全ての行動を子どもなりにきちんと観察しています。だから、親として心に留めるべきことは、親の情緒に子どもが連動するということです。焦っているとき、心に余裕がないときには、子ども自身が歩調を合わすように情緒が安定しなくなります。「映し鏡」という言葉がありますが、正にそのとおりです。日々忙しく子どもと過ごす時に自らが子に鏡のように映し出されるのであれば、子どもが目にする「素敵な魔法の鏡」になることが大切なのだと気付きました。子どもが学校や友達との関係で理不尽なこと、嫌なことに接しても、よく聞いて情緒を安定させ受けとめて、正しく援助すると子どもは落ち着きます。怒ったり、反論したりすると子どもはますます落ち着かなくなります。優しく受け容れることで、子ども達は安らぎを感じ、自分なりの解を見付けるように思います。
愚息が大学を留年した時も「なんで?」とは一言も言いませんでした(言わない努力をしました。)。思えば、たくさん深呼吸をしていた自分自身がいましたが、留年は事実で過去にも答えは出ません。子ども達が成長すればするほど、「素敵な魔法の鏡」は、複雑化し、難題化しましたが、今でも子どもに過去を問い詰めたことはありません。親と過ごす時間が子ども達の心の中で特別な良い思い出と受けとめられ、そして次の関係者、世代へとつながっていけばいいなぁ、と思います。
保育園の子ども達に、素敵で特別な体験と経験をしてもらい、大人になった時に大切な思い出として心の中に刻まれるよう支援し、それが実現できる保育に努めて参りたいと思います。
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