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代表者の一言

令和6年3月代表者の一言

3月に入り、寒暖の差が激しく不安定な天候が続きました。この園だよりをご覧いただく頃には、日差しが眩しく、春らしい陽気になっていることと思います。不安定な天候も、地球が呼吸をしながら日本に春を呼び寄せてくれているのだと考えると、心身穏やかになります。春は「卒園」「入園」、離れてしまう寂しさと出会いの喜びと、心が高揚する場面が沢山あります。いずれも子どもの日々積み重なる成長の証に相違ないのですが、心情的にはセンチメンタルになってしまうものです。春の訪れ、自然の移り変わりがセンチメンタルな出来事を見事に描写してくれているようで、ありがたい思いになります。

最近、「リクルートスーツ」を身にまとった学生を街角で目にし、私の子ども達もちょうど卒業前年の2月頃に「SPI」の本を熟読していたことを思い出しました。全員が同じような就職活動をするとは限りませんが、多数の企業を調べ、訪問等を経て「就職先」を探していく活動なのだと親としては傍観しておりました。一度、子ども達にどのような基準で応募先を決めているのか尋ねたところ、どのような仕事をさせてもらえるか、自分自身が目指している仕事に直結することをやらせてもらえるのか?という答えだったように記憶しています。私は就活に何ら口を出しませんでしたが、子ども達は、いくつか内定いただけない会社があったものの、ご縁のあった会社に入社しました。ところが、娘は3年もしないうちに転職し、息子は30歳を目の前にしてキャリアアップや新しいチャレンジを意識した話をするようになっています。娘に転職の理由を聞いたところ、前職では自分の目指す将来像に必要なスキルが身に付かないと思い、「目標」を叶えるためのスキルアップが目的とのことでした。息子に関しても同じような思いがあるのかと受け止めています。私の時代は、まるで会社と結婚するかのように「一生安定して働ける場所」と思って就活をしていました。「ジョブ型雇用」という言葉をよく耳にするようになりましたが、「自分自身の役割責務を果たせる場所」を探すことができる社会への変化は、良い方向に向かっているのだと肯定的に捉えています。

一方で、子どもの就職活動の際に、保護者向けの会社説明会が実施されているというニュースを近時耳にします。子どもが就職するに当たって親の賛同が必要であるとの考えは、明らかに肯とすることができません。子ども達が、自己を愛し、自らの意見をしっかり伝えられるようになること、自分の行動を自身で決められるようになること、この主体性と自己肯定を重んじる大人へと導く保育こそが、将来を担う子ども達に対して、私達大人が大切にし実現すべきことと伝え行動しています。子どもの主体性を育ませることが、いかに大切かは論じるまでもないでしょう。人手不足、採用困難な各業界の悲鳴が年々強くなる中で、就職までもがビジネスの一環として捉えられ、保護者の決定により本人が志ないままに「就職」することがないように祈るばかりです。

会社と自らの人生を共にする時代に就活をした私ですが、結果、2回の転職、起業、複数の会社での役員就任と、振り返れば現在の就職活動に近い発想で職業を選択しました。子育てが一段落した40代からの転職は「ジョブ型」の発想だったように思います。女性であることを含め時代的に転職はメジャーではなく、大きな勇気と行動力が必要でした。家族に背中を押された後は、自らの意思を道標として「自分で決め、行動する」の精神で取り組みました。もちろん信頼する周りの意見や助言は必要です。でも最後に決めるのは自分自身でした。

適材適所の精神に近いものですが、社会全体が、子ども達を本当にやりたいこと、やってみたいことを実現できるよう導き、そのことが社会貢献につながる結果を生むようにしていくことが重要です。我々大人の既成概念や習慣めいたものによって子ども達の夢と信念が消えない社会の実現に向け、我々小鳩グループの職員もその一助となれるよう尽力したいと思います。

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