代表者の一言
令和4年5月代表者の一言
今年のゴールデンウイークは緊急事態宣言の発令がなく、子どもの日前後は好天にも恵まれましたので、久しぶりにご家族でお出かけされた方も多くいらっしゃったことと拝察します。世界的に新型コロナウイルスの捉え方が変わり始め、コロナ禍にあってもかつての日常生活を取り戻すこと、経済活動を積極的に促すことが必要であるとの意見を耳にすることが多くなりました。欧米諸国ではマスクの着用義務が撤廃された国もあり、「WITHコロナ」の考え方で徐々に日常を取り戻していく動きが始まっています。この2年半の生活様式は、何よりも心身ともに著しく成長する幼少期の子ども達への影響が大きいのではないかと懸念しています。幼少期は、口の動きなど、言葉だけではなく表情から生まれるコミュニケーションを受けとめ、学んでいく時期です。この間表情に接する機会が限られていたことを補うために、子ども達に何をどのように伝えていくべきか、今後の大きな課題としてご家庭と社会とが一つになって取り組まなければならないことだと考えています。
一方で、ウクライナとロシアとの戦争は終わりが見えず、報道される画面の向こう側で人々が被災し、戦場から避難する姿に胸が苦しく、我が事のように悲しい気持ちになります。ただそれと同時に、日本では、たくさんの花々が咲き始める時期を迎え、街路樹のハナミズキやつつじの花が戦争とかけ離れた平和な気持ちに導いてくれますし、新入園児をはじめ子ども達の愛らしい表情、泣いても笑っても前に向かって日々成長していく姿、何よりも包み込んで抱きしめ寄り添ってあげたいほどの初々しい生命力には、愛おしさを感じます。世界のこと、自身を取り巻く身近な環境、いずれもがまるで「自分自身」のように感じ始め受けとめてあげたくなるのは随分年齢を重ねたせいなのかもしれません。
私事、昨年婚姻した息子夫婦が、この4月に無事「結婚式」を挙げ、親しい友達や親戚のみの少人数でささやかな披露パーティーを開くことができました。毎月の園だよりを書き始めた頃は、娘が高輪の中学校、息子が大岡山の大学に入学したことにより孟母三遷、埼玉から東京へ転居した話を記していましたが、どうやらそんな娘までもが来年あたり嫁ぎそうな雰囲気もあります。思えば30年前に初めての子を授かり、さらにもう一人の子を授かり、その子らが自立するまでの子育て期間は長い時間だったように感じますが、一つ一つが良き思い出であり、人生の次のステップに向けての活力であり、自分自身の大切な物語の一節です。保育園がワーキングママである私にとって真なるサポーターであったからこそ、今の仕事に信念をもって取り組み始めることができました。働きながらの子育てがマイナスに評価される不遇な時代ではありましたが、その中では、積極的に働くことよりも粛々と「学ぶこと」を大事にしていました。
昨年から始まった小鳩グループ内の「保育の質向上チーム」の先生方の熱意・活動は素晴らしいもので、職員一人ひとりの育成に尽力していただいています。私一人だけではなく、多くの支援者に参集していただいて、力を合わせて小鳩グループの理念に基づき本当に子どもに大切なことは何かを追求しています。子ども達が楽しい時間を過ごすことができ、子ども達にとって大好きな保育園であり続けられるよう、日々、研修と実践を重ねて取り組んでいます。そのような中で、皆が行き着いたところは「学ぶこと」の大切さです。保育の意味、意義を理解し実践するためには学びが必要であるということを、研修を通じてより実感しております。
来年還暦を迎え、いよいよ新しい自分が、社会に対して、今の自分にしかできないことを責任もって実行すべき時が到来すると感じています。子ども達が独立し、自らを振り返ったとき、家族との出会い、家族を通じての出会い、仕事を通じての出会い、正に今を支えていただいている多くの関係者の方への感謝の気持ちをもって、次に何に貢献し実現すべきかを考える年齢になりました。その方向が如何なるものであっても、「学び」だけはこれからも変わらず、そして絶えず取り組んでいきたいと思っています。
新しい学びが、必ずや次の道を導いてくれるでしょう。職員、関係者と共に学び、保育を通じて地域社会の充実・発展に貢献できるよう努めて参ります。
小鳩グループ代表 山本育子
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