代表者の一言
令和4年3月代表者の一言
3月に入り、厳寒だった年の初めから一転して暖かく穏やかな天候に恵まれ、本格的に春の到来を感じる季節となりました。いよいよ新年度のスタートです。これまでの年度初めには、様々なことに新たにチャレンジしようという心持ちになっていましたが、2年余りのニューノーマルな生活を経た今は「できることを見つけてチャレンジしよう」という気持ちに変化してきました。制約がある中で「できること」をたくさん見つけ、人の笑顔につなげるよう取り組もうとすることは、私達が生きていく上でとても大事な志です。その志を大きく持てるよう、子ども達の「できること」「やりたいこと」の芽が前向きにすくすくと育つよう支援することが正に保育の仕事です。「自己肯定感」という言葉が、近年、諸所で使われるようになりましたが、この自己肯定感は、幼少期に享受したものが基礎となり強く人格形成に紐づくと言われています。保育者の援助とは、形式的なことを「させる」のでも大人の力で「やらせる」のでもなく、子どもの育ちに合わせて子ども自身が持つ自然な成長力を活かし、自信を持たせ、できたときの喜びを感じ、周りから認められ、受け入れられ、褒められ、満足感をたくさん得させることです。そうすることにより、子どもは、自他共の「幸せ」や「喜び」につながる行動を、積極的に創出できる人になっていくのだと思います。
家庭も保育園も子ども達にとっては一つの「国」のようなものです。子どもは、年齢はもとより経済的に独立できず判断も十分ではありません。だからこそ、国の指導者にあたる身近な大人や我々保育者達が、子ども達がやがて成人になるまで「安心」して「居心地よく」自分らしさを伸ばせる環境を作出することが大事になります。そして、その結果として、子ども達が、明るい未来を切り開くことに貢献できる志を抱くことができるようになるでしょう。世界を、そして地球を「良い環境」に導く一つの力となって、それを実現していくことが生きている証なのかもしれません。
ロシアのウクライナ侵攻のニュースを聴くたびに心が痛みます。威力で制圧したとしても皆が納得できる結果とならないことは、普通に考えれば理解できるはずです。幾たびもの戦争を経て、戦争=人の命を無差別に奪うものとして、「いかなる状況においてもしてはいけないこと」という結論に辿り着いているはずの国際社会で、日々戦いが繰り広げられていることが残念でなりません。粘り強く話合いを重ね、お互いに納得した結果のみが受け入れられるもので、力での制圧は争いの火種を増大させるだけです。誰しも理想や思想が常に同じ方向を向いているわけではありません。同じ環境で育った兄弟でもそれぞれ違う未来を描きます。統率者は力でねじ伏せるのではなく、皆が理解し納得できる指示系統を構築できる者であるべきです。
「児童虐待」という言葉があります。子どもが思うようにならず、虐待者の理想・形式と反しているから、子どもの置かれている状況を考える前に制圧してしまうことです。これを戦争に例えることは適当ではないかもしれませんが、一方的な力によって反発している者を制して理想を押し付けることが、いかに本来の「理解」を得ることのできない行為であるか、早急に気付いてほしいと願います。力でねじ伏せられた者は、他者に対して同じような行動を取りがちになると言われます。戦争で失われた命に黙とうを捧げつつ、この命の奪い合いが早く終われば良いのにと切に願うばかりです。
世界情勢が混沌とする中ですが、4月から新入園児をお迎え、新年度がスタートいたします。子ども達の人権を尊重し、多くの経験・体験ができる環境を整え、毎日たくさんの笑顔があふれるよう、職員一同「子ども第一主義」の保育に勤しんで参ります。
小鳩グループ代表 山本育子
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