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代表者の一言

令和3年6月代表者の一言

 一昨年度より東京都内の福祉専門学校の教育課程編成委員に就任しました。この委員会の役割は、職業訓練校の教育内容の維持、向上に努めることにあり、意見交換が主な執務内容となります。私にとっては保育所の役割や社会貢献を客観的に見つめ直すことができる良い機会にもなっており、意見交換の中で、逆に私自身に学びがあり、現状の問題点のあぶり出しや、事業の方向性や計画の立案に大きな影響を与えていただいています。
 先日、保育士が継続勤務できるためにはどのようなことに努めていくべきでしょうか?という問いが、事業者である私に投げかけられました。保育の仕事は子育てです。各ご家庭においても保護者の皆様が子育てにマニュアルがないことを実感されているのと同様、保育士も受容的存在になることが大前提です。目の前の子ども達は、一人ひとり個性を持っています。子ども達を比べることなく、毎日、毎時間、子ども達の伸びゆく芽に寄り添いながら、心身の伸長に共感することが、保育士の大きな役割となります。また、近年では、保育士の役割として、保護者に対する育児支援や地域における保育を通じた社会貢献なども期待されています。形式や理想を相手に求めるのではなく、自ら積極的に社会福祉の精神をもって様々な人と接し、環境を受けとめることができる器量が必要とされるのです。要するに、幅広く受容する力を身に着けることが、この仕事を継続することができる素養になります。
 子育てでは、ご家庭でも「子育ての壁」や「困難な現象」にぶつかることが多いと思います。その解決のために「マニュアル本」を読みそのとおりにしたり、大人(保育者)が快適に、楽になるための解決、いわゆる形式的解決を求める方が大多数かと思います。子どもは様々な反応をします。泣いたり、笑ったり、ときには叫んだり、言葉を話せない子どもはお友達を噛んでしまったり・・・実は、これらは全て子どもが発信している重要なサインであり、子ども達がしっかり成長していることの証なのです。泣いたときにはその理由をしっかり見出して受けとめてあげること、喜びの表情のときは一緒に喜んであげること、噛みそうになったときには、欲求を満たしたい何かが突発的に目の前にあったと気付いてあげることが重要です。
 我々は、日々子どもの行動や表情を汲み取り、成長を促しています。施設でも時折起きてしまう子ども同士の嚙みつきに関しては、未然に防ぐことができるよう「突発的な欲求」を発生前に気を配り、子ども達同士を仲介し、事故防止に尽力しています。特に自分の思いを言葉で伝えられない子ども達の場合は、寄り添った上で、その思いを代弁して行動してあげることも重要です。
 一般的に、子どもについて、泣かず、大人の思うような行動、規則的な行動ができることを「是」としてしまいがちです。時計も読めず、理性で行動できない子ども達を、大人のものさしで評価・判断することは全く誤っていることに気付かなくてはなりません。保育を紐解くと、子どもの自然な成長に受容的に向き合えること、これが保育者にとってとても大切な素養です。
 本年度、小鳩グループは、保育士らを初級者、中級者、管理者レベルに分けて、保育力の向上を目指す保育研修カリキュラムを組み、当該研修を実施する専属講師をお迎えしました。看護師、栄養士、調理師も含めて全員が参加する大規模なカリキュラムです。私は、このカリキュラムに、保育士らが「参加しなければならない」というスタンスではなく「自ら学びに行きたい」というスタンスで取り組み・挑んでほしいと思っています。併せて、研修を受けた保育士らが各保育所施設できちんと実践に紐づけられるよう、施設を巡回して助言・指導してくださる先生もお迎えしました。
 幼少期におかれた環境(物的・人的なものも含みます。)が、大人になってからの考え方、受けとめ方、行動に大きく影響するということは、既に多くの学者が研究結果として示し、周知されています。大切な幼少期を過ごす場である保育園において、我々保育スタッフ全員が、その意味と仕事の意義を受けとめなければならないことは必然です。当グループは、学びと気付きを重ねながら、質の高い保育を全員が実践できるよう、日々努めて参ります。

小鳩グループ 代表 山本 育子

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