代表者の一言
令和3年12月代表者の一言
2021年も年の瀬となり、この園だよりをご覧いただく頃には新年を迎えているでしょう。2020年春より新型コロナウイルスへの感染対策をすることが生活習慣となり、「ニューノーマル」と称された生活様式がいつしか「ノーマル」となったようにすら感じます。人と人とが交流すること、集うことが「良いこと」なのかと問われれば、コロナ前までは間違いなく良いことだったはずですが、今や是非を問われることが多くなりました。この程度のことならオンラインミーティングで大丈夫、わざわざ面談しなくても・・・といった会話がそこかしこから聞こえるようにもなりました。それでも、近時はコロナ感染者数が著しく減少したことから、年末のご挨拶にお越しいただいたり、私自身もお訪ねさせていただいたりしました。直接お会いしてする他愛のない会話からは新たな気付きをいただくことも多く、また、別れ際に目と目を合わせてお互い同時に深々とお辞儀をすることは、画面越しでは難しかったと改めて感じました。
「お辞儀」は日本の素晴らしい習慣であり、言葉を発せずとも相手に感謝と敬意を伝えることができる素晴らしい文化です。最近、自分のお辞儀の角度がずいぶん深くなったなぁと感じることがありました。以前に比べ、相手が見えなくなるまでずっと、ゆっくりスローモーションで感謝の意を心で唱えながら頭を下げていることがあります。幼い頃、膝に頭が当たらんばかりに上半身を深く倒し、ゆっくりとお辞儀をしていた祖母の姿を思い出しました。祖母は、恐らく腰が悪いのであのようなお辞儀をするのだろうと思っていました。ゆっくりと頭を下げる動きに「老い」を感じたこともありました。その私が、最近では、自然と深々とゆっくりお辞儀をしている自分自身に「あのときの祖母の姿」を重ねるようになりました。
11月に禅宗のお寺で久しぶりに僧侶の「説教」を聞く機会がありました。人の命、信じ愛することの気高さ、共生の素晴らしさなど、いずれも以前はあまり傾聴できなかったことですが、今では言葉の一つひとつが心に沁みます。自らを振り返れば、生きていること、幸せを感じることができることの素晴らしさ、そしてこれまで自身を導いてくれた両親、関係してきた全ての人への感謝の気持ちで胸が熱くいっぱいになります。今、こうして仕事を通じていささかでも社会に貢献できているのは、自分をこの世に授けてくれた先祖・両親のおかげだという「感謝」が、私の中では次世代の子ども達をきちんと導いていこうという意欲につながっています。
子ども達は、これから成長し、思春期を迎え大人になるまで、様々な葛藤や体験の中での興味や関心から学び、自己を充実させながら邁進していきます。だからこそ、感謝の気持ちが育つような場面をたくさん与えてあげなくてはなりません。いずれ物事を肯定し、許容し、感謝し、共生する社会の中で他に愛情を注げる力を持つことでしょう。
最近は、久しぶりにお会いした方に「会ってくれてありがとう」と深い感謝の念を感じます。会いに来てくれる方は、今まで何かしら支え合い、共に考え、大切な時を共有してきた方だからです。別れ際に、ゆっくりと丁寧にお辞儀をする「祖母の域」に達することができるようになってきました。祖母のお辞儀が身体をべたっと折るほどに深かったことや、そのゆっくりとした動きは、今考えれば、ただ形の上でお辞儀するのではなく、頭を下げる数秒の間に、何かしらを唱えながら「礼」を尽くしていたのではないかと思います。
皆様にとって2022年が良い年となるよう願い、出会えた方に深々とお辞儀しながら、これまで以上に感謝の念を持ち、信愛を深め、人と人との絆を大切にして、社会に貢献できるよう努めて参ります。
小鳩グループ 代表 山本 育子
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