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代表者の一言

令和3年10月代表者の一言

 本年10月28日をもって、私が当時1施設だった保育園を承継してから丸10年を迎えます。私が保育園事業に携わろうと決意した理由については、これまでも何度かこの園だよりで触れさせていただきました。結婚、出産を経てもなお働く女性が民間企業にほとんどいなかった30年近く前、育児休暇制度は整備されておらず、私は、出産後、法定の産前産後休暇のみ取得し、直ぐに復職しなければなりませんでした。当時、保育園に通う子の母親の職業は、教師、公務員、個人経営者、看護師などであり、女性が離職したら仕事が成り立たない職業の方がほとんどでした。そうではない私が保育園に子どもを預けて復職すると、「どうして子どもを産んでも働くの?」とか、「子供がかわいそう。」「保育園に預けるなんて考えられない。」という酷評めいた言葉を言われ続けました。私から「どうして辞めなくてはいけないのか?」と反論することすら許されない職場環境だったと記憶しています。

大企業ですら、女性の社会進出を肯定しない時代だったように思います。私の勤務先は、事業所全体で500名程の職員がいましたが、私が「事業所第1号」の産休取得者でした。私が先陣を切って産休を取得して復職したことにより、後輩達の出産後も仕事を続けるという選択に、細やかながらもつながったと受けとめております。女性の社会進出のために育休を普及させようというシンポジウムに出かけたり、署名をしたりとしたものですが、今は、育児をしながら働くことが当たり前と受けとめられ、長期間の育休取得や、育児中の短時間勤務、時間外労働がない固定時間勤務などが可能となり、育児両立支援の社会環境に変化してくれたことが何より嬉しいです。

二人目の子どもを産んだ後、同期、同年齢の男性が課長に昇進する中、万年係長のままである理由を上司に尋ねたところ、「山本には子どもがいるから。」と言われた時は衝撃的でした。現在ならば、ハラスメントの域を超えた大きな社会問題になるでしょう。小学校3年生だった下の娘が、「おうちのこととお兄ちゃんのことは私がするから、ママの好きな仕事をやりなよ。」とおませに言ってくれたことがきっかけで、18年間働いた会社を退職した後、私自身をきちんと評価していただける仕事に就くことができました。43歳の転機でした。

長い間評価をされず、出産から退職に至るまで周りからは不遇と言われたものですが、自身では肯定的に捉え、この時期に今の立場になるためのたくさんの学びをしたように思います。多くの書物を読むだけでなく、時間があれば新聞を隅から隅まで目を通し、来るキャリアアップのために一番積極的に学んだ時期でした。一方で、働きながらも、子どもの喜ぶことに週末の時間を費やし、子どもと共に感動したり、子どものお友達を招待して一緒に料理をしたり、一緒に虫を探したり、子どもが母親に求めることに応えることを大事に感じられたのは、働いていたからこそかもしれません。どんな環境に置かれても、今自分自身ができることを精一杯するということは、この時に学んだことです。

このような環境下にあって最も「感謝」したのは、初めての子育てから10年間通い、一番に励まし、元気付けてくださった「保育園」です。両親は遠方に居りましたので、育児の悩みや相談を多岐にわたって嫌な顔をせずに受けてくださった保育士の先生方は、母なる海のように崇高に感じましたし、他方、とても身近な存在でもありました。子ども達と私にとって、掛け替えのない存在が「保育園」でした。

そんな中、転職から5年後、ご縁あって「小鳩保育園」(現:小鳩ナーサリースクール南浦和)を承継しないか?というお話をいただき、ありがたくお受けしました。まさしく「恩返し」の時です。事業を承継した後は、調理師免許を取って調理補助に入ったりしながら、職員と同じ目線も持ちつつ、経営・運営に取り組んで参りました。その後、自らも保育士資格を取得して保育について一層学び、子ども達に必要な環境や支援について職員が仕事の意義と意味を身に着けてもらえるよう勤しみ、子ども第一主義の理念に則り豊かな環境を構築することを目指して、現在に至ります。10年前に在籍していた10名ほどの職員も、保育園事業の承継にご尽力いただいた弁護士の福間先生、会計士の松山先生も、未だ私を支えてくださっており、感謝の言葉が尽きません。令和3年10月28日は本当に感慨深い日になりそうです。

上の息子は、今年結婚して大阪で働いており、私の背中を押した娘は、時に悪戦苦闘しながらも社会人として成長しています。私はといえば、気付けば「還暦」も近くなり、目は老眼、体力が低下していることを実感する場面も多くなりました。先日は名刺をいただいた際、老眼故「調(しらべ)」を「鯛(たい)」と読み取って失礼な呼びかけをし、恥ずかしい思いをしました。しばらくは「老いの愛嬌」でごまかして笑ってみようと思います。ただ、本当に体力を低下させるかは自分次第だと思っています。まだまだ精神力を磨き、事業の発展に努めなければなりません。事業者として、適切に舵取りをし、関係者の豊かな幸せに向かって「継続」して進まなくてはなりません。サステナブルという用語が最近よく使われますが「継続」することで力を得て、その「継続」を守り持続できるよう、これからも尽力したいと思います。

小鳩グループ 代表 山本 育子

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