代表者の一言
令和5年5月代表者の一言
新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが「5類」に変更され、3年前の「日常」が取り戻されつつあります。他方、この3年間でいつの間にかマスク着用が日常になり、大人も子どもも、外すことが恥ずかしいと感じるまでに習慣化された感があります。子どもの発達について研究されている方々が、発達段階でのマスクのもたらすコミュニケーションへの弊害を語られているのを聞きますと、この「弊害」ないし「影響」に留意しながら、自然なコミュニケーションを取り戻す保育の重要性を痛感します。表情によるコミュニケーションは全世界的な共通言語でもあり、身体全体を使った表現や顔の表情で喜びや感動を伝え受けとめる、そのような保育に努めることの大切さを、職員との間で共有しました。
今年のゴールデンウイークは海外渡航をし、私にとって初のアフリカ大陸上陸を実現しました。その中でも印象に残ったのは、途上国の子ども達の切なくけなげな姿を多くの場所で目にしたことです。信号が余りない国でしたが、乗っていた車が停車するたびに、子ども達が走り寄ってきて、自分で描いた絵や道端で摘んだ花を売りに来ます。子どもらしく一生懸命描いたであろう絵からは、芸術的というより、「家族の糧」を得ることの必死さが伝わってきました。この国では、多くの国民が10代後半で親となり、平均寿命は70歳に達するかどうかだそうです。ガイドをしていただいた現地の方は、姿から同世代と信じて疑っていませんでしたが、実はまだ30代で、既に20歳くらいの子どもがいるという話にも驚かされました。敬虔なイスラム教の信者で、神を信じ、お酒やたばこもたしなまず、家族を大切にするという話を聞いたときに、文化の大きな違いと生きていく上での異なった価値観を感じつつ、家族を大切にするという点は世界共通の価値観であるとも併せて受けとめました。
子どもの話をすると、ガイドの方は目を輝かせながら話をしてくれました。とは言え、道端や公園で遊んでいる子どもは少なく、家族を支えるための「お手伝い」をしている子ども達ばかりが目に留まりました。それでも何かに束縛されているような様子はなく、子どもの表情やあどけなさは、これも世界共通のものだと感じました。また、ガイドの方も学ぶことに積極的で、日本に関してたくさん質問をされました。拙い英語でのやり取りながらも、この「国際交流」から問題意識や課題を見い出すことができ、これからの自身の社会における役割などを再考する好機となりました。
この5月で正真正銘の60代になり、この年代に「何を目指し、何をなすべきか」と改めて考えます。聴力も視力も体力も、知らず知らずのうちに衰え始めていることは否めません。年相応の行動をしなければ必ず負担の反動が現れます。もちろん、日頃の体力づくり、知力づくりを怠ってはなりませんが、40代、50代と同じような瞬発力や持続力があると過信してもいけません。それでも、40代の役割、50代の役割があるとしたならば、きっと間違いなく60代の役割があるはずです。年齢に相応しい役割を見つけて成すべきことを成すことが、今、自身に課された責務を全うすることと考えています。
訪れた国では「寿命」を迎える年代ですが、一方で、日本では人生100年時代と言われます。おそらくこの先も、70代の役割、80代の役割があるのでしょう。社会福祉法人こばとの役員には80代の人生の大先輩方がいらっしゃいますが、今でも、私に長い経験に基づく教訓を述べられ、ご自身の生活を満喫されています。伝えられる言葉には含蓄があり、あのような80代になりたいと憧れます。
私自身も、60代でしっかり社会的責務を果たし、後進たちに60代を楽しみに思っていただけるよう努力したいと思います。そして、小鳩グループが未来の子ども達を立派に支えていける事業体となるよう、邁進して参ります。
小鳩グループ 代表 山本 育子
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