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代表者の一言

令和5年2月代表者の一言

 インフルエンザ流行発生警報が数年ぶりに発せられ、1月には施設での感染が確認された園もございました。感染症に関しては、保健だよりなど「コドモン」を通じて情報提供しておりますので、こまめにご確認くださいますようお願いいたします。コロナ禍における感染対策、衛生管理を徹底した生活環境から、人流も戻り、公共の場で密になる機会も多くなりました。当グループではインフルエンザ予防接種を全職員に勧めるなど、引き続き感染症のまん延防止に努めて参ります。

 先日、私の出身県の県人会賀詞交歓会に3年ぶりに出席しました。多くの諸先輩に囲まれながら、たくさんのご指導ご鞭撻をいただきました。その際、現代社会を取り巻く諸問題に関し意見を求められる場面も多々あり、私の仕事柄もあって、時のテーマ「異次元の少子化対策」について「少子化はどうしたら歯止めがかかると思うか?」という問いが向けられました。この問い掛けは、私には「保育園の先生の仕事の達成感はどういうところか?」という問いと重なるように思えました。というのも、保育士の先生方は皆、子どもが大好きで、子ども達の育ちに寄り添い、子育ての素晴らしさを実感している者ばかりだからです。

 少子化の要因として、家庭を取り巻く経済環境が大きく影響していることは否めません。発展途上国では少子化問題が顕在化していないことからすれば、日本では、文化的かつ豊かで安定した生活を維持するための資金確保が家族を持つために必須と考えられていることも、少子化の一因と考えられます。この背景には、長年低迷停滞している日本経済も影響しているのでしょう。生活や所得の向上を多くは望めない現況、現実の可処分所得の中での生活維持を考えると、結婚に消極的にならざるを得ないという話も耳にします。私自身、二人の子育てを終えた今、経済的な問題を無理して乗り越えたと思い当たる時期があります。二人ともが私立中学を志したときです。当時の可処分所得からすれば身の丈を超えるものであり、学資保険の契約者貸付を利用して学費を支払い、賞与をいただいたら返済することを繰り返していました。二人の子どもは無事希望する中高一貫校にそれぞれ進学し、塾に頼らず学校の勉強だけで希望する大学・学部に入学できたのですが、これは子どもの「やってみたい」を尊重して、経済的に苦しい時期を乗り越えた結果だと受けとめています。

 子どもが学びたい、チャレンジしてみたいという気持ちや興味や関心をもって、本当の力を発揮できる進路があることは、社会全体の底上げにもなっていきます。就学前までの期間は、健やかにチャレンジしたいことをできるように、そして伸び伸びと自分自身を表現できる子となるよう、我々は保育の現場でご支援します。そして、就学後もその先の未来も、子ども達が学び自らの芽を伸ばせる環境を支えることが、少子化対策の根本ではないかと考えています。経済的なことが原因で目指したい路に進めない子ども、奨学金を過大に借用しなくては学べない環境、これらを総じて無くしていくことが、未来を創る子ども達が社会で輝く存在となり、社会をより良いものに変えていく手立てになるものだと思います。もちろん、子ども手当の増額には賛成です。ただ、子ども一人ひとりに、その子に対する属人的な施策を社会に出るまできちんと施すことが、家庭と子どもを不安に陥らせず、将来に向けて大切なことなのではないでしょうか。先の県人会では、衆議院の先生ら大先輩を前に、若輩者ながらこのようなことを生意気にも申し上げてきました。

 当グループでは、「自己を肯定し、自身の意見や行動をきちんと表すことができるような子どもを育てること」を大切にしています。卒園後も、学校や社会が子ども一人ひとりを尊重し、この理念を未来に繋げていくことができれば、とても素敵な社会になることだろうと想像します。このような社会の実現に支障をきたす経済的な問題、環境及び価値観を一つずつ変えていくことが、少子化対策の第一歩である、私はそう考えます。

 3月の卒園式シーズンが近づいてきました。卒園児の皆さんが、保育園での経験を礎にし、笑顔で、たくさんのことに興味関心を持ち、未来に夢と希望をもって伸びやかに躍進されることを願いつつ、「こばと」からの巣立ちを笑顔で見送りたいと思います。

 

小鳩グループ代表 山本育子

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