代表者の一言
令和8年8月代表者の一言
7月28日、熊本で大きな地震が発生し、その後に前代未聞とも言えるショッピングモールの大規模なガス爆発も起きました。そして、この爆発に、一度は避難した方が建物内に戻って巻き込まれるという痛ましい事態にもなりました。地震により被災された皆様、関係者の皆様には、心よりお見舞い申し上げます。被災地が1日も早く復旧し、少しでも早く平常の生活が戻ることを心から願っております。
このエリアで今なお余震が続いているという報道に触れると、15年前の「東日本大震災」を思い出します。余震が続く中で、被災者の方々はいつ何時あの大きな揺れが再来するかもしれないと不安を抱えていること、そのような不安は一人では払拭できないこと、気持ちを前向きにするには周囲の支援が必須であることなど、震災後に気付かされたことでした。正に「絆」なのだと思います。
あの震災から、公共の危機管理体制やそれに対する意識も随分と変わったように感じます。有事の際にどう対応するか、皆で考え、話し合い、地域で取り組む環境が徐々にですが整いつつあります。地域や事業者が主体となった避難訓練をするなど、「小鳩グループ」でも安心・安全な体制作りに努めています。
現在、職員には、様々な研修を受講するよう推奨しています。研修あれば研修レポートあり。私にはいろいろな業種の方の研修レポートを読む機会があるのですが、最近、総じて言えることは、生成AIを利用して作成された文書が増えているということです。多くの文書に目を通していると、読み手として「あ、これはAIの支援を受けているな。」と分かるようになりました。議事録等、事実を正確に記載すべきものについては、AIの活用は非常に有効だと思います。一方で、自分の思いを伝える文書にまでAIを活用してしまうと、一見、見映えは良くても、本当の思いや本当に表現したい事とズレている文章になりがちなように感じます。実際、レポートに関して職員と対話をしてみると、文章では綺麗にまとめられているのに、問題提起から結論に至るまでを自分で話せなかったり、逆に、自分自身の思いや考えがあるのに、それを表現できていなかったりするのです。
小学生の頃の読書感想文の宿題は、本を読んで感じたことを、言葉を選んで構成する段取りをしますが、今、AIを使うことで勝手にできてしまうそうです。AI任せにすることで、人間の脳が十分に鍛えられることなく、論理的に考える力を自ら持てなくなるのではないかと、見えない脅威を感じます。最近では、独りでAIと対話している時間(の方)が楽しいといった話を時折耳にするようにまでなりましたが、受動的なレールに乗ることに慣れてしまえば、人間が滅多にないこと、ダメージコントロールやリスクコントロールを学ぶ機会が少なく、有事への対応力が低下してしまうのではないかと危惧します。
先のショッピングモールの事故も、一旦避難をした後に、指示者を含め「今やるべきこと」「今やるべきではないこと」を判断する力が求められていたように思います。突然の出来事に最善の方法を考え、論理的に解決する力は、生活する上でとても大切です。そして、その判断力は、日頃の興味や関心、物事に関する知識を自ら体系的に組み立て、自分の意見や考えを実際の場面に当てはめていくことによって育まれるのではないでしょうか。経験と環境が人を育て、考える人、思いやりのある人を作っていく…。人生60年以上を生きてきた今、後輩達にそんな思いを語ることもあります。
私達保育者は、未来を創る子ども達が、自らの持つ成長する力を信じ、自己を表現する力を養っていけるように支援しています。保育方針でもある「豊かな心と健やかな体を育み、生涯にわたる『生きる力』の基礎を培う」とは、子ども達が様々な環境の中で、柔軟かつ適切に、自らの言葉や行動で課題を解決できる人に成長するための支援でもあります。
時代の変化とそれに伴って生まれる新しい技術・環境を肯定することも大切です。ただ、受動的に頼り切るのではなく、能動的にAIを活用できるよう、子ども達が「自己を表現する力」を身に付けられるよう、引き続きその育ちを支援したいと思います。
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