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代表者の一言

令和7年10月代表者の一言

 10月から改正された「育児・介護休業法」が施行され、事業主に対し、3歳から小学校就学の始期に達するまでの子育て中の労働者ついて柔軟な働き方が実現できるような制度を設けることが義務付けられました。これにより、男女を問わず、育児をしながらも働き続けられる仕組みづくりが進み、家庭と仕事の両立がしやすくなることが期待されます。これまで日本では、他国と比べ、男性の育児参加が少ないと指摘されてきましたが、最近では、お父様が保育園の送迎をされるご家庭も増え、子育ての知識も、お子様自身への関わりもより豊かで深いものとなり、他国にも劣らなくなりつつあるように思います。

 思い起こせば30年前、保育園の送迎は、あたかも女性の仕事であるかのように母親ばかりの光景でした。当時は、父親は外で仕事、母親は家庭で家事と育児という暗黙の決まりがあって、その中で世の中における家族の在り方や夫婦の役割が決まっていたような気がします。現に公共の場には、子どもが快適に過ごせるスペースや、多目的トイレもほぼなく、優先席も妊娠している女性や小さな子ども連れの大人が利用することは事実上許されなかったように記憶しています。授乳スペースやおむつ替えの場所も皆無に等しく、小さな子どもと外出することがとても難しい時代でした。母親が家庭内で育児に専念することが当たり前だったがゆえに、保育園に子どもを預け働いていると「子どもがかわいそう」と言われることもありました。今は、こども家庭庁が取り組む「こどもまんなかアクション」という言葉が表すように、子ども・子育てにやさしい社会の実現が目指され、子どもや子育て中の大人が社会の中でのびのびと笑顔でいられるよう、社会全体で子育てに関わっていく環境へと変化しており、そのことが明るい未来の源になるものと受けとめています。

 私事、10月の三連休を利用して、息子夫婦と孫と一緒に、初めての1泊旅行をしました。0歳の孫は、温泉宿の広い畳の間をニコニコしながら縦横無尽にハイハイし、周りに臆することなくたくさん冒険をしていました。その微笑ましく活動的な姿を見ていると、この好奇心が正に「明るい未来の源」だなぁと思います。1歳手前で歯もかなり生え始めているため、離乳食ではなく、大人と同じ食パンを少しずつ歯と歯茎とでしっかりとかみしめて食べていたのですが、本当に美味しそうに、楽しそうに夢中になって食べていました。最初は、口の中のパンがなくなるとすぐに次のパンをねだってきたのですが、そのうち自分でお皿から取って口に持っていこうとするようになりました。小さな事ですが、ひとつの行動が次の行動につながり、ほんの短い時間の中で好きな事を通じて成長する子どもの姿に「生きる力」を感じました。「孫」であるがゆえ、声も行動もしぐさも全てが愛らしいのですが、たとえ「孫」ではなくとも、子どもの行動観察は、生命力に溢れた心身の成長の一端が垣間見られるので、とても貴重な経験です。

 一方で、親である息子夫婦は大変そうで、ほっと息をつく間もなく、常に子どものペースに合わせて先回りをして行動しているようでした。ただ、二人とも子どもが泣いたとしてもしっかりと向き合って、とても優しい言葉をかけており、そこにも時代や環境の変化を感じました。30年前であれば、公共の場で子どもが泣くと、子どもに泣かないように言い聞かせたり、子どもをその場から遠ざけたりしたものですし、大人の意に反した行動をすれば、大人の言うことを聞きなさいと叱り、おとなしくて大人の時間を邪魔しない子が良い子と評価されていたように記憶しています。息子夫婦が、泣いている孫に対して常に優しく対応している姿を見て、周囲の大人たちが子育てに理解を示し寛容になったことも大きく影響しており、そしてそれは、男性である父親の育児参画が大いに寄与しているに違いないと思いました。

 保育を取り巻く環境は、先人や多くの専門家の方々の努力と力強い発信力によって徐々に変化し、地域社会と家庭が協同して子育てに取り組める環境になってまいりました。子どもが、幼少期に信頼できる大人に囲まれ、愛され、健やかな環境の中で心豊かに育つことはとても大切なことです。社会全体で子育てをする仕組みは、きっと、子どもたちに素敵な未来をプレゼントしてくれるでしょう。

 私たち保育事業者も、子育て中の労働者の柔軟な働き方を実現するための社会づくりに賛同し、豊かな保育環境を整えることで、子どもたちの素晴らしい未来へつなげていきたいと思います。

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