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代表者の一言

令和6年2月代表者の一言

先週、つぼみだけの啓翁桜の枝を花瓶に活けたところ、1日でつぼみが膨らみ、かわいらしい桜の花が咲き始めました。立春を過ぎ、もう春だなぁと感じる素敵な瞬間です。そして、春は別れと出会いの季節でもあります。今、春のセレモニーを想えば、その背景には、季節の彩が感じられる花々が華やかに咲き誇っています。年を重ねるにつれ、特に「桜」の開花時期をじっくりと追うようになりました。桜がきれいな期間は1週間ほどですが、ピンク色の樹の下にいるだけで、不思議と幸福感が満ち溢れます。

振り返れば、我が家の二人の子ども達が保育園に通園していた頃は、子どもの背景にある花をゆったりと愛でる余裕はありませんでした。

いつも時間に追われるように慌ただしく送り迎えをし、帰宅後は家事・育児に追われる毎日でした。そのような日常の中、保育園では、子ども達が動植物や自然と接する機会をたくさん設けていただけました。当時、子ども達が自然と触れ合い、純粋に「きれいだね」「かわいいね」と感じる多くの場面を作ってくださる先生方に、感謝感激していました。親としては、流れる時の中で子ども達の感動や体験をもっと共有したかったのですが、限られた時間の中でその望みは十分にはかなわず、少ない時間を活かし工夫しながら家族の思い出作りをしていたことが記憶に残っています。

最近、25歳になった娘と娘が幼かった頃の話をすることがあります。一緒に行った旅先で見た風景、日常的に起きたこと、身近にあったものへの感動など…私が日々の共に過ごした時間の短かさを省みているのとは裏腹に、娘は、当時の体験の中で子どもなりの視点で楽しかったこと、感じていたことを、たくさん話してくれます。話の中には、私も同じものを経験していたはずなのに気付いていなかったことも多々出てきます。そんな話を聞いていると、改めて、少ない時間であっても共に過ごしたときが本当に大切なんだなぁと実感します。今、正に子育て中の保護者の皆様は、日々の忙しさの中で何とか時間をやり繰りして、お子様と共に過ごす時間を作られていることと拝察します。共に過ごしたその瞬間は、小さな背丈から見える光景や、幼心に刻まれた楽しい思い出として、いつか共に語り合う日がくるまで、必ずやお子様の心のポケットに大切にしまわれているはずです。

とは言え、働きながらだった自分自身の子育てに、今でも申し訳なさを感じることはあります。我が家の子ども達が幼い頃は、母親がフルタイムで働いている子はクラスに1人か2人しかいなかった時代です。娘が小学校の中学年のころ、本来、母親が子どもにしてあげるべきことについて、娘から「ママが忙しいから自分でやったんだよ。」と言われたとき、わが子への申し訳なさと自身の不甲斐なさを強く感じたことも思い出します。

ただ、救われたのは、子ども達から一度も働いていることを嫌がられたり、文句を言われたりしたことがなかったことです。むしろ、「お母さんはかっこいい」「働いていることを自慢してるんだよ」と言ってくれていました。子ども達がこのように育ったのは、当時の保育園の先生方の声掛けや温かい見守りのおかげです。保育園では、子ども達を取り巻く環境に配慮してくださり、生活の中でたくさんの経験と喜びと楽しい時間を作っていただきました。自己を肯定し、他を受け止める力は、正にこの保育園時代に身に付いたものだと思っています。

いつか、もう少し時が経ったら、子ども達と一緒に保育園時代の連絡帳や手形や写真が詰められている箱を開けて、私自身も当時に遡って、思い出を1ページずつめくっていく時間を持ちたいと考えています。思い出が私にとってキラキラとした宝物に変わっていく間、関わってくださった全ての方にも感謝の気持ちを抱きながらです。

 

子育て中は、その背景や時の流れは見えづらいものです。いずれゆっくりと背景の花々が見えてくるときまで、しっかりとお子様と向き合い、たくさんの思い出作りをしていただきたい、そう願っています。そして、私達保育者は、子ども達の発見や心が動く瞬間、毎日の楽しい時間、何かができるようになるという達成感の喜びを共有する場面を大切にし、子ども達に寄り添い支援しながら日々活動して参ります。

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