代表者の一言
平成28年6月の代表者の一言
はじめに、この度の熊本県を中心とする地震によりご関係者が被災された皆様にお見舞い申し上げるとともに、被災地の方々が一早く日常の生活に戻れるよう、心よりお祈り申し上げます。
過 日、GWを利用して、ふるさと山口県下松市に帰省しました。帰郷の度毎に、高校時代の同級生と旧交を温めるだけでなく、ご紹介などにより県内の保育士養成 学校を訪問して、学校関係者の方々と沢山の意見交換をさせていただいております。県内の学生は地元志向が強く、未だ同郷の保育士の採用には至っていません が、県を東西に結ぶ山陽本線に乗って下松を出発し、岩国~山口~宇部と4校の就職支援センターの先生、教授、学部長らとお会いして、様々な角度から「保 育」に関する意見交換をさせていただき、とても刺激的で有意義な時間となりました。
この間の移動は、山陽本線、宇 部 線、山口線などを乗継ぐのですが、これらのローカル線は2両あるいは3両編成で、手動扉、段差あり、一昔前のふかふかの椅子を備えた車両で、車窓からは五 月晴れの瀬戸内海が見え隠れするのどかな景色が望めます。総乗車時間5時間の車中、懐かしい山口弁に包まれながら文庫本2冊を完読し、日常から離れた時間 を過ごすことができました。ふと、子ども達が高校生になるまでのころは子ども中心に余暇を過ごしていたことを思い出し、今こうして独りでいることに年月の 流れを感じました。今年のGWは、狭間の平日に休暇を取れば最大10日間の大型連休でしたが、次の夏休みにでも、お仕事のご都合がつくようであれば是非長 期のお休みを取っていただき、最愛の家族と共にその瞬間しか経験できない時間を共有していただきたいと思っております。
私自身は、前述のとおり、家族が独り立ちをはじめて最近は出張など一人での遠出が多くなりました。そして、一人行動だからこそできること、今しかできないこととして、これまで自分を支えてくれた人たちに可能な限り会ってみようと考えるようになりました。
山 口の岩国空港に到着すると84歳になる父が車を運転して迎えに来ます。心配なので帰路のハンドルは私が握りますが、両親とも長寿の家系で、父方・母方とも に伯父伯母らは80代・90代であるものの、皆、伴侶とともに自立していて要介護者はおりません。皆が「自活して元気でいること」には尊敬の念を抱きま す。今回は、山口在住の伯父伯母全員と会う!という目標を掲げて親戚宅を訪問しましたが、皆「いっこちゃん?よう来たのー」と出迎えてくれ、私の年齢や仕 事内容まで覚えていてくれました。中でも商店街で自転車販売業を営んでいた93歳の伯父は、10年前に脳梗塞で1年半入院した後にリハビリし、今も自転車 のパンクを修理できることを自慢気に語ってくれました。今回訪れた3軒の親戚宅から帰る際には、なぜか涙が止まらず、「また来るね」という言葉とともに、 その言葉が嘘にならないよう「ずっと元気でいてね」と声を掛け、何度も抱きしめ合って握手した手を放すことができませんでした。ともに生きていること、生 き続けていることの価値と素晴らしさを感じ、幼いころ夏休みに集まっては様々教え導いてくれた伯父伯母たちの優しさと愛情を思い出し、胸にこみ上げるもの がありました。身近な人達の優しさと愛情に包まれていたからこそ、自ら目標をたてて生きる力を持つことができたのだと実感する素晴らしい時間でした。
当 園の子ども達も、ご家庭、ご親族など多くの方々から愛情を注がれることにより、生きていることの素晴らしさを知り、感謝の念を抱くようになるでしょう。で すから、休暇の際には、ご家族や沢山の人と関わり合える素敵な時間を、是非お過ごし下さい。そして、私たち保育所スタッフも、子ども達にいつも優しさと愛 情を提供することによって、子ども達自身が、年齢を重ねるごとに自分自身が一人の力だけで在るのではないと実感し、周囲の人達に感謝の気持ちを持てるよう 努めたいと思います。
人は一人では生きていけず、共生の中で生きることの意義を感じるものです。「生きる力」を正しく子ども達に身に着けてもらうことを当園の役割と受け留めて、より良い保育を実現して参ります。
小鳩グループ代表 山本 育子