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代表者の一言

令和8年10月代表者の一言

 今年の秋はまさにそれらしく、9月に入ると真夏日が終わり、秋の訪れを体感できるようになりました。そして、10月を迎え、ようやく秋晴れの日が増えてきました。自宅近くの道には、この間の湿気の多い日々を物語るように緑色の苔が広がっており、9月を表す長月の「長」が、まるで長雨の意であるかのように感じられます。改めて太陽が、気持ちを爽快にしてくれる最高の惠みであることを痛感します。

 秋の訪れとともに、今年もノーベル賞の発表がありました。昨年に続き、日本人受賞のニュースを聞き、とても誇らしい気持ちになりました。ノーベル化学賞を受賞された硤合先生のインタビューを拝聴しましたが、気さくな語り口の中にも、これまでの研究の道のりの中で貫いてこられた信念、「研究」に対する情熱や愛情、そしてご自身の研究への揺るぎない自信が感じられ、私自身も前のめりになって聞き入ってしまうほど素晴らしく興味深いものでした。

 私の息子は高分子化学を専門に学び、大学を卒業しています。現在は、化学製品を営業・販売する仕事に就いておりますが、同じ化学の分野を学んだということもあり、僭越ながら、何か親近感を感じました。

 先のインタビューの中で、硤合先生は、「小さい頃から研究者になることを考えていたのか?」といった質問に対し、「生まれ持った素質もあるかもしれませんが…」と前置きされたうえで、研究を続けることができた環境や、結果に至るまでのプロセス、そして尊敬できる先輩や指導者への感謝の気持ちを強調してお話しされていました。私には、そのお話が、総じて、研究成果は好奇心や興味・関心を持ち続けることで生まれるものであり、研究は失敗してもそこで終わるのではなく、その経験を受け止め、次の探究へとつなげていくものだからこそ素晴らしいものだ、と語られているように感じられました。

 こうしたお話は、私たちが日々真剣に取り組んでいる保育における支援のあり方や、保育において人と人とのつながりが重要であることに通じているようで、共感するとともに、励みになる言葉と受け止めました。今後は、皆さんが硤合先生の魅力や研究成果に触れ、さらに先を目指して研究を続けようとするバイタリティに気付き、関心が広がっていくのではないかと、興味深く見守りたいと思います。

 小鳩グループでは、各園の先生方が参加する園内での「研究」を通じて、保育の質の向上に努めております。「研究」では、テーマをもとに保育の狙いを定め、子どもたちの姿を丁寧に観察します。保育者の支援によって、子どもたちがどのような経験をし、どのような成長につながったのか、また、保育者の直接的・具体的な関わりによって、子どもたちの成長に必要な体験の場が生まれたのか、そうした姿を観察し、その内容をもとにカンファレンスを行い、子どもたちへの理解を深め、より良い保育や、より良い環境の構築につなげています。

 子どもたちは、遊びの中からさまざまな事を発見し、興味や関心を広げていきます。「好き、できるよ」という気持ちが芽生えると、「もっとやってみたい」「もっと知りたい」という意欲が生まれます。それを大切にし、遊びを通して経験を広げ、深めていくことが、将来の学びの土台になると言われています。そのため、乳幼児期の遊びを保育者が計画的に援助することは、子どもたちの自発的で連続的な成長を促すことにつながります。自分なりに考え、自発的に思いを伝えること、喜びや満足感を得ることは、一歩一歩階段を上るように経験を積み重ね、やがて芽が伸び、花が咲くような成長につながっていくものだと思います。

 硤合先生の研究に対する信念は、幼少期の環境も影響したのかも知れないと想像すると、私たちもまた、子どもたちの未来をより豊かにする研究に、意欲が湧いてきます。子どもたちが学び、やがて仕事に就き、幸福感や達成感に満ちた日々を過ごせることが大切です。

 事業者として、未来の社会をより豊かなものにするため、「研究」の大切さとその意義を職員と共有し、一人ひとりがその意味を大切にしながら保育に取り組めるよう、これからも尽力したいと思います。

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