代表者の一言
令和7年4月代表者の一言
4月を迎え、周りが急にパステル色に染まったような雰囲気となり、新しいランドセルを背負った小学生、新しい制服姿の中高生、初々しいスーツ姿の新社会人に会う度に「フレッシュな気分」のお裾分けをいただいています。新しさは、唯一その時だけのもので、そこには二度と立ち戻れませんが、新しいステージに踏み出す時の姿は、私たちの思いを初々しいものに引き戻し、応援というか見守ってあげたいというか、何とも言えない気持ちが沸き上がってきます。当園に通う新入園児たちについても同じです。
新入園児は、最初の頃は、不慣れな環境や大きな環境の変化に耐えられず、泣いてしまったり、体調を崩してしまったりもします。そんなとき、私たちが、保育園での時間や空間を、子どもたちにとって最善で最適で楽しいものとなるよう援助し、声掛けも工夫することで、しばらくするとあんなに泣いていた子どもたちが、保育園を大好きになって楽しく過ごせるようになり、たくさんの笑顔が見られるようにもなります。これは、正に「保育の仕事」の醍醐味であり、素敵な瞬間です。
この園だより(代表者の一言)の掲載も、150回近くになろうとしています。2012年、南浦和に1園のみだった時に、ご家庭の皆様と職員らへのメッセージとして掲載を始め、今では、病児病後児施設を含めると20施設の関係者の方々にご覧いただいています。記事の内容について、読んでくださった方からお声掛けをいただくこともあり、多忙でなかなか皆様とお会いできない中、この園だよりを通じて繋がっていることは、代表者冥利に尽きる悦ばしいことです。
掲載開始から12年以上ともなると、私自身や従業員の家族も随分成長しました。子育てのテーマの際に中学生や高校生として登場していた我が子らも社会人になりましたし、小さい頃から誕生祝いをしていた従業員のお子様の入学や卒業報告を受けるようにもなりました。私自身が最初に送り出した小鳩保育園の卒園児は、もう高校を卒業して成人です。多くの関係者の方々の幸せな報告、その成長ぶりに驚きと感動を享受するとともに、この間、自分自身が歳を重ねてきたことを実感します。
この園だよりにも時々に登場している現在93歳の父と90歳の母は、これまでずっと元気に「二人暮らし」を続けていましたが、昨年より体調不良を訴えていた母が、今年2月、入院することになってしまいました。頭はしっかりしているのですが、思うように身体が動かず、耳も遠くなり、80代までのふくよかさもなくなって、とうとう介護認定を受けることになりました。幸い4月13日には退院できたのですが、その際、桜吹雪の中で母が、「願わくは花の下にて春死なむその如月の望月のころ」と西行の辞世の句を口にしていたことが印象的でした。当日の山口は強風ですが晴天で、夜空に大きな「ピンクムーン」が輝いており、2月に入院した母と、4月に自宅で並んで夜空に輝く満月を眺めたことは、私にとってとても大切な「時」として心に残っています。初々しさも素敵だけれど、60年以上親子として過ごし、同じ夜空を見て感動する「時」もまた素晴らしきことだと感動しました。
この間、介護認定の申請、認定、各種介護サービスの利用、ケアマネージャーさんの選定など、高齢者福祉サービスの充実に感謝することがたくさんありました。両親の自宅での生活を支える中で、ケアマネージャーさんの出現は神の手が現れたに近いものを感じました。社会の力を借りながら、1日でも長く、幸せに、豊かに自宅で二人が過ごすことのできる環境の整備に、絶大な支援をいただいています。
私たちが携わっている保育所も同じく社会福祉事業の施設です。子どもたちの成長を支える福祉サービスに関して、私たちが担う役割をきちんと果たし、様々な他の福祉サービスにつなげていかなくてはならないことを強く感じました。高齢者福祉サービスや介護制度は、自立できない高齢者を支えてくれる有難く感謝すべきサービス・仕組みであって、そのお仕事に就かれている方に感謝の気持ちでいっぱいです。
人は成長し、歳を重ねていきます。去年生まれた孫はどんどん成長し、微笑ましい姿を見せてくれます。我々大人も歳を重ね、「今」を人々と関わりながら生きる「大切な時間の流れ」があることを、この年齢になったからこそ意識的に受けとめています。社会福祉事業とは、人に寄り添い受けとめながら援助していく大切な事業です。誰しもが経験する歳を重ねること、これが素晴らしく意味あるものと感じられるよう、小鳩グループ全体で、子どもたち、職員たち、そして出会った人々が皆幸せになるような支援活動ができるよう、尽力したいと思います。
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