代表者の一言
令和6年9月代表者の一言
9月が「秋」という感覚は、数年前から失われてきたように思います。他方、8月が余りに暑過ぎるため、9月になって30℃を下回るだけで過ごしやすいと思うようになりました。中秋の名月を眺める頃、長袖の上に何か一枚羽織っていたときを遠い昔に感じます。
私事、子どもの頃、毎年9月15日だった「敬老の日」は兄の誕生日でもあり、祖父母を敬い、兄を祝う日でした。当時は若かった両親も、いつの間にか90歳を超える父と来年90歳を迎える母という超高齢夫婦となり、今では「敬老の日」が「父の日」や「母の日」よりも両親に感謝を伝える日となりました。私は、30歳と34歳で二人の子を産み、皆様と同じように子どもを保育園に預け、産後休暇後すぐに仕事に復帰しました。両親とは遠く離れて暮らしていましたが、時折、私が子連れで帰省すると、帰京の際に一緒に上京して育児を数日支援してくれましたし、子ども達が小学生の頃は、夏休み中、孫を預かって故郷の自然に触れ合う時間を作ってくれました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
大学を卒業して社会人になったとき、私には、自分が30歳になったら一度も国外に出たことのない両親を海外旅行に招待するという目標がありました。父は非常に勤勉で、独学で英語を学び、フィラデルフィア在住のペンフレンドにいつか会いたいと言っていたからです。結局、「招待」とまではできませんでしたが、お互いに費用を出し合って、私がプランニングした旅程で一緒にアメリカ東海岸を訪れることができました。飛行機に乗り遅れそうになったり、レンタカーでの駐車違反を摘発されたりの珍道中でしたが、60過ぎの父が確かな英語力でアクシデントを切り抜ける様子に、尊敬の念と感動を覚えました。父はその旅行をきっかけに、翌年から70代前半まで1~2年に一度、バックパッカーとなって約1か月、ふらりとアメリカを訪れるようになりました。父の関心は非常に奥深く、政治や経済、人々の思考、カルチャーやトレンドなど、普段見ることができない場所での交流や風景をきちんと自らのものとし、感動の体験を重ねていました。先日、実家に泊まった際、父の勉強部屋で、英語の構文、単語、熟語が書き連ねられているノートを何冊も発見しました。90歳になっても毎日欠かさず真面目に「学び」に取り組んでいることに心から敬服し、なぜか涙が出てきました。ノートには、所々消しゴムで消して正しく書き直されている箇所もあり、それを目にしたとき、私自身、チャレンジ精神や向上心を捨てることなくもっと自らの役割を果たさなければならないと身が引き締まりました。近所の本屋では父のために「NHKラジオビジネス英語」が必ず取り置きされているそうで、父はそれを曲がるくらいボロボロになるまで読み返しています。今さらながら父が神々しく思え、それを支えてきた母には改めて感謝しかありません。
そんな両親ですが、我が家の子ども達のことを、社会人になった今でも暖かく迎え入れてくれます。海外旅行費を出せなかった代わりとして、十数年前から、近場の温泉旅行に両親を招待しています。両親に「ありがとう」「楽しかった」と言われると、両親への恩返し、親孝行ができたように思え、とても満足した気持ちになります。父は昨年自家用車を廃車したことで行動範囲が狭まり、母は散歩すらもおっくうに感じるようになっています。子ども達は、私の両親を心から敬い、感謝の気持ちを伝えられる年齢になりましたが、それも、両親が生きていてこそです。両親が生きていることに感謝します。
今、保育園にお迎えにいらしているおじいちゃん、おばあちゃんも、沢山の愛情でたくさんの事をお孫さんにお伝えになっていることと思います。子ども達は、子ども達を取り巻く信頼する大人に愛されることで心豊かに成長していきます。おじいちゃん、おばあちゃんの存在は、子ども達にとって本当に掛け替えのないものです。我が家の子ども達は、今でも、保育園や学童クラブにいつもより早く迎えに来てくれたおじいちゃんとおばあちゃんとの非日常の楽しいひとときを、思い出として語ってくれます。
小鳩グループの園児達が大人になり、家庭を持ち、おじいちゃん、おばあちゃんに対し、その溢れる愛情をもって成長を支えてくれたことへの感謝が伝えられるようになるまで、どうぞ元気に健康で充実した毎日をお過ごしください。
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