平成31年2月の代表者の一言

あけましておめでとうございます。新年を迎え、皆様におかれましても、心を新たに「新年の抱負」を思い抱かれたことと存じます。

私事ですが、昨年末、電車の中で膝の上に置いていた鞄を眠っている間に盗まれるという被害に遭いました。鞄の中には、もちろん財布等の貴重品もありましたが、それよりも「御守り」や「子どもの写真」といった取り戻せないものを失ったショックの方が大きいものでした。このような事件もあり、自身を取り巻く様々な環境と自らを深く省みた年の瀬となりましたが、怪我なく無事だったことに感謝して気持ちを切り替えながら、この2019年、これまで以上に仕事を通じて社会に貢献する精神で、関係者全員の幸せを追求するために組織を率いる決意を固めました。

年末の同時期、知人を介して、「能」を取り入れた劇作や舞台演出で活躍されている方と面談させていただける機会に恵まれました。多忙もあって、芸術という異分野で活躍されている方と会うことは滅多にないのですが、その方は、今の仕事に「信念」と「誇り」を持ち、長年の経験の中で得た人間関係と学識・知識をもって社会貢献されている素晴らしい方でした。後日、共通の話題があり幾度かメールを交換させていただく中で、会社という組織を率い、また教育者の立場にもある私にとって、大切な気づきと説教をいただきました。

その方によると、舞台は一つの組織・チームであり、それを率いる、つまりは舞台を関係者皆が満足し得るものに導くためには、率いる者自身が人格者たるべきである。その存在・求心力にこそ人がついてくるのであり、そして、たくさんの尽力と努力があってはじめてその立場に就けるということでした。人を導くことは口先や小手先のものではなく、その人の年輪のような正に「人徳」を高めることが必要なのだと受けとめました。

人生経験豊富な年配の方からいただく「人の道」のお言葉は、とても貴重です。心身ともに浄化され、敬意をもって感動しました。この体験を踏まえ、年の瀬に起きた事件も省みながら、大晦日、尾道の千光寺を訪ね、除夜の鐘の音で「煩悩」を祓って「人を大切に、謙虚に、心豊かに、信念をもって人を導く。人にやさしく、人と幸せを共感する努力を日々すること」を新年の抱負としました。一年の計は元旦にあり、初心忘るべからずという言葉を思い浮かべつつ、前記の人生の大先輩から新年に頂戴した言葉をそのまま引用させていただきます。含蓄のある素晴らしいお言葉でした。

 

世阿弥の名高い「初心忘るべからず」の初心は、初心の初々しさよりは、初心者として失敗したことを忘れるなという意味で使っています。その時の失敗、出来なかったことを忘れなければ、次につながり成長できるという意味です。さらに時々の初心があるとも言い、年齢ごとに時々の課題があり、それを積み重ねていくことが大事だとということです。さらに続けて老後の初心とも言っています。老いもまたその人の生涯で初体験です。その時には若者と同じことはできないが、別の手立てや精神性の深さでおぎなうという事です。その最後に観世家の家訓として「初心を重代すべき」といっています。これはその時々の初心を代々重ねていけば、できなかった課題を乗り越え、乗り越えていけば成長が止まることがないというのです。そうすれは、この人はここで成長が止まったとか、終わってしまったとか、言われることなく果てを見せずに終わることが出来るといっています。
さらに「命には終わりあり、能には果てあるべからず」とも言っています。これはその仕事に携わる人の命には限りがあるが、能という芸能には行き止まりがあってはならず、世代を超えて伝承され、よりよくなっていかなければならいということです。教育も芸術も同じだと私は思います。

 

保育者には教育者の面もあります。「教育」に果てはなく、私達大人が思うこと、考えること、行うべきことを、子ども達により良く示す努力を続けなければなりません。

本年も、皆様にとって幸多き良き年となりますよう、心からお祈り申し上げます。

小鳩グループ代表 山本 育子